キャリア採用

PROJECT STORY 02

失敗を糧にしながら、 スポーツ中継の 体験価値を高め続ける。

失敗を糧にしながら、 スポーツ中継の 体験価値を高め続ける。
WOWOWが開局当時から力を入れてきたスポーツ中継。いつの時代もお客さまの想像を越える体験価値を届けるため、新しい技術の導入にも積極的に取り組んできました。その挑戦の系譜を、ゴルフとテニスにフォーカスしてご紹介します。

プロジェクトメンバー

  • スポーツ部 プロデューサー

    2011年/新卒入社

    新卒入社後、スポーツ部で格闘技やテニスや陸上など多様な競技の中継に携わる。カスタマーリレーション部を経て、2020に再びスポーツ部へ。現在は主にゴルフを担当。

  • スポーツ部 プロデューサー

    2010年/新卒入社

    プロモーション部を経て、2012年よりスポーツ部へ。幼少期から続けてきたテニスにプロデューサーとして携わりながら、「リモートプロダクション」の運用に従事している。

  • 技術センター(WOWOWエンタテインメント出向中)技術推進部

    2001年/新卒入社

    技術局、回線センターに関する業務などを経て2017年より現職。「中継以外」の領域を担当し、スポーツ番組における字幕や回線分野を担うほか、技術開発にも携わる。

  • 技術センター(WOWOWエンタテインメント出向中)中継技術部

    2009年/キャリア入社

    地上波テレビ局の映像技術を扱う会社からフリーランスを経てWOWOWに入社。ビデオエンジニアとして、中継車のシステム構築などに携わる。

  • 技術センター(WOWOWエンタテインメント出向中)技術推進部

    2015年/新卒入社

    2023年よりWOWOWエンタテインメント(株)に出向。「リモートプロダクション」の技術展開に注力し、新たなビジネスモデルの構築に挑戦している。

これまでの
中継スタイルを一変、
ゴルフ
「日本人選手専用カメラ」

海外スポーツの中継は、ワールドフィードと呼ばれる大会の公式映像を中心に映像を構成することが主流で、ゴルフの場合は出場選手たちを満遍なく映す形になり、特定の選手にスポットを当てるには、追加で多額の予算が必要な状況でした。

そのような中でWOWOWにとって契機となったのは、2016年LPGA女子ゴルフツアーへの参加資格を得るための最終予選会。当時日本女子オープンを史上最年少で制し、にわかに注目を浴びていた期待の新人畑岡奈紗選手にスポットを当てます。ファンの期待や注目度を考えると、もっと畑岡選手にフォーカスを当てるコンテンツがあってもいいのでは?と、プロジェクトが始動しました。

その大会で、当時としては画期的だった携帯の通信を活用した中継技術を初めて導入。当時報道番組などの中継で使用されていた小型の無線カメラを導入し、配信限定で畑岡選手専用カメラの映像をお届けしました。ひたむきにプレーする畑岡選手の表情を間近で捉え、プレー中はもちろん、ショット前のルーティンやコースの移動など、畑岡選手の様子をつぶさにリアルタイムで追い、いい意味で偏ったWOWOWならではのコンテンツを配信しました。制作技術部では「試験的に導入したら、想像以上に映像のクオリティが高くて。これは使えるぞということで、一気に必要機材をそろえていきました」と当時を振り返ります。これにより、コンパクトさとリーズナブルさを両立したゴルフ中継に成功。その強みを活かして、特定の選手に密着する「日本人選手専用カメラ」の原型が作られ、長く視聴者に愛される企画へと昇華していくこととなります。しかし、導入当時は想定外の壁にもぶつかりました。それは、カメラの切り替えやテロップの表示です。「最初は予算も限られていたので、映像を確認するプレビュー室に簡易的なスイッチャーを設置して、プロデューサー自身が映像を切り替えたりしていました。また、テロップに関しても、予め用意していた打数×ホール数分の画像データしか表示できなかったため、トリプルボギーや雨での中断など、想定外のことが起きたときは困りましたね」と苦笑いを交えて語るのはスポーツ部のメンバー。結果的に、畑岡選手に密着した配信は想像以上に視聴者の方の好評を集め、「専用カメラ」の本格導入に向けた道のりが始まりました。

放送と配信、それぞれの
強みを活かした中継を

日本の選手以外の注目選手にも密着しています。翌年の2017年には、日本女子ツアーで2年連続賞金女王になったことで話題を集めていたイ・ボミ選手に密着した「イ・ボミ専用カメラ」を企画・配信。全18ホールにおけるイ・ボミ選手の一挙手一投足を、WOWOWオンデマンド(WOD)の前身に当たるWOWOWメンバーズオンデマンド(WMOD)で配信し、好評を博しました。

2019年にはスインギング・スカーツLPGA台湾選手権で、全英覇者である渋野日向子選手に密着。大きな反響を集めたことで、「○○選手専用カメラ」はWOWOW独自のコンテンツとして成長していきました。そして、2023年には全大会で「日本人選手専用カメラ」を導入。「導入当時はクオリティ面でまだまだ課題が多かったと思いますが、今では放送と変わらないクオリティの映像をお届けできていると思います」と自信を持って語ります。しかし同時に、弱点も見えてきました。例えばイギリスで開催された大会では、中継に欠かせない携帯の電波が日本国内に比べて弱いというインフラの壁に直面。ギャラリーが密集したゴルフ場ではさらに通信速度が落ちてしまうということが分かりました。そこで活躍したのが、WOWOWのスポーツ中継を長く支えてきた放送技術です。ビデオエンジニアとして衛星中継車のシステム構築にも携わる中継技術部のメンバーはこう語ります。「無線機材を使った配信は年々進化していますが、映像のオーバーラップやディレイなど、気になるところはまだまだたくさんあります。また、公衆回線を使用する以上、すべての大会で滞りなく映像を配信できるとは限りません。そういう際には中継衛星車がバックアップに入るなど、放送・配信それぞれの強みを活かしてフレキシブルに対応していくことが求められると考えています」。刻一刻と状況が変化し、ワンプレーが結果を左右するスポーツの中継現場において、「撮れませんでした」は許されません。視聴者が見たいものを、求めている以上のクオリティで届け続けるために。WOWOWの挑戦はこれからも続きます。

番組制作を
ソフトウェア化する、
テニス
「リモートプロダクション」

広大なコースを回るゴルフとは異なり、23.77×10.97mのコート上でラリーが繰り広げられるテニスにおいては、違った視点から新技術の導入が進められてきました。それが、現場での機材や人員を最小限に抑え、離れたところから配信を行う「リモートプロダクション」です。WOWOWにおける「リモートプロダクション」導入の構想が始まったのは2017年。ラスベガスで催された技術展覧会でこの技術を目の当たりにし、TBSと共に構想を開始しました。足掛かりになったのは、2017年の国際テニス大会「慶應チャレンジャー」でした。スポーツ部と技術推進部で協力しながら、『番組制作をソフトウェア化する』というコンセプトのもと、まずは中継機材の簡素化に着手。1台のパソコンの中でスイッチャーやスロー、CGなどの複数のアプリを連動させる番組制作手法にチャレンジしたんです」この制作スタイルに一定の手応えを感じたメンバー達は、リモートプロダクションの導入に踏み出します。初導入は、2019年に福岡で開催された「全国選抜高校テニス大会」でした。「『慶應チャレンジャー』でのトライから、ここまでできるならリモートプロダクションもいけるのでは?という思いからチャンレンジすることになりました。」しかし、結果は散々だったという。アプリケーションの想定外の不具合に加え、タイムスケジュールの目測を誤り、焦りから人為的ミスが続出。放送であれば『放送事故』と呼べるレベルのひどい配信であったと語る。クオリティを追求するどころか、何を諦めるのかを取捨選択しなければならないほどの状況に追い込まれ、現地では連日反省会が行われました。しかし、この経験があったからこそ悔しさをバネにさらなるチャレンジができたという。「『全国選抜高校テニス大会』では、掲げた理想と目の前の現実のギャップに、とても苦しい思いをしました。でも、絶対にここで終わるわけにはいかない!と強い思いを持って、すぐに技術開発や調査研究を進めていきました」。

検証と改善を繰り返し、
新たな体験価値を届ける

「全国選抜高校テニス大会」での苦い経験を経て、まずは開発スタイルの見直しに着手。機能改善がフレキシブルにできるというソフトウェアならではの特徴を活かし、アジャイル型の開発手法を取り入れブラッシュアップを繰り返していきました。さらに、コミュニケーション面にもテコ入れを行います。「これまでは現地でリアルタイムにコミュニケーションを取ることができましたが、リモートになることで情報伝達のスピードや正確性が落ちてしまう恐れがある。当日までの準備と情報共有を、これまで以上に徹底するようにしました」。そうして迎えた2019年8月の「四日市ATPチャレンジャー」では、トラブルなく中継を完遂することに成功。しかし、クオリティ面ではまだまだ理想とは程遠い。メンバー達は結果に満足することなく、これまでの課題を洗い出し、一つ一つ地道に解決していきました。「現地スタッフを増員すれば解決しそうだけど、それではリモートプロダクションの意味がない。当初のコンセプトや目的からズレることなくクオリティを上げるためにはどうしたらいいか、ということを常に意識して改善に臨みました」。そう語るメンバー達の試行錯誤の結果、翌2020年の「ITFジュニアテニス大会」でようやく満足のいく結果が得られたといいます。そして、2023年には国際大会での「リモートプロダクション」導入にも挑戦。5Gへの対応など最新技術を追求しながら、現地スタッフの負担を減らし、クオリティと安定性を高めていくために挑戦を続けています。幼少期からテニスを続け、現在はプロデューサーとしてテニス中継に携わるメンバーは、こう語ります。「初めて『リモートプロダクション』を導入した際には本当に課題だらけで、悔しい思いをしました。でも、チーム一丸となって諦めずにやってきたおかげで、課題はどんどん改善されています。グランドスラムを現地に行かずに配信することを一つの目標に、これからもチャレンジしていきます」。

WOWOW独自の
スポーツ中継を追求していく

ゴルフとテニス、それぞれのフィールドでチャレンジを続ける5人。それぞれの今後の展望を聞くと、立場や職種が違っても共通する「信念」が見えてきました。それは、「お客さまのためにWOWOWだからこそ届けられるスポーツ中継をつくっていく」ということ。中継技術部のメンバーは言います。「スポーツを見せる、というだけであれば、試合を定点カメラで映すだけで成立します。しかしそれでは面白くないし、視聴者も満足しません。視聴者が本当に見たいものはなんなのか、『日本人選手専用カメラ』のような新しい技術と、これまで積み上げてきた放送技術、どちらも活かしながら視聴者に新しい選択肢を作れるような見せ方を、 WOWOWとして提案していきたいです」さらに技術推進部も続きます。「これまでのWOWOWのやり方を守り、受け継いでくれる人と一緒に、いかに新しい技術をクイックに取り込めるか。お客さまのニッチなニーズにも応えられるように、コスト面でも様々なことにトライしていきたいです。」「苦い失敗も経験しましたが、それがあるからこそ今につながっているという意味では大成功です。これからも攻める姿勢を忘れずにいきたいです」と決意を新たにします。スポーツ部はそれぞれお客さま目線の大切さを改めて語ります。「何よりも大事なのは、お客さま起点で進化していくこと。技術部の方々と協力しながら、お客さまが見たいものを届けていきたいです」「お客さまが求めるものは、時代とともにどんどん変わっていきます。そんな中で、WOWOWも去年と同じことをしているだけではつまらないし、選んでいただけない。お客さまのニーズを見越して、その先を叶えるサービスを提供し続けていきます」日進月歩で技術が進歩し、人々の価値観が多様化し、目まぐるしいスピードで変化していく時代。お客さまが求める以上のものを届け、心が動く体験を生み出していくために、WOWOWは歩みを止めず、挑み続けます。