──現在、担当されているお仕事について教えてください。
事業部でコンサートやミュージカルの制作、展覧会のPRなど、リアルイベントを担当しております。
──事業部の業務内容について詳しく教えてください。
事業部の仕事は会員収入以外のところでいかに稼ぐか? というのがゴールとなっており、大きく四つの領域があります。
一つ目は「ライツ事業」と呼ばれるもので、WOWOWで制作した番組や映像を他社に販売して収入を得るというもの。
二つ目は「映画事業」で、最近では『アキラとあきら』が劇場公開されましたが、映画のプロデュースや出資をします。
三つ目は「広告事業」です。地上波と比べると量は少ないですが、WOWOWもCMの販売をしていますし、毎月お客さまに届けるプログラムガイドに広告を入れて、収入を得ています。
そして四つ目が、私が担当している「イベント事業」で、コンサートやミュージカルなどのイベントを制作し、チケットの売り上げに応じて収入を得ます。
──これまでで思い出に残っている仕事について教えてください。
2022年8月に上演したブロードウェイミュージカル「ジャニス」ですね。WOWOWとして初めてブロードウェイミュージカルの日本版制作をプロデュースした作品であり、チーフプロデューサーを務めさせていただきました。
最初に話をいただいたのは入社4年目で、出張でアメリカに行き、そこでブロードウェイの方から提案を受けたのが始まりでした。正直「自分にできるのか?」という不安は大きかったです。約3年間をかけて制作しましたが、大変でもあり、やりがいもありました。
──会社にとっても初めての挑戦となる事業を20代で任されるんですね?
若いうちから責任ある仕事をさせてもらえるのはWOWOWの特徴だと思います。放送は決められた予算の中でどういう番組を作るかを考えますが、事業部の場合「1億円の予算で1億5千万円を売り上げます」というプランをきちんと立てられればやらせてもらえます。
先輩にサポートしていただいた部分も大きいです。初めてのミュージカル制作ということで、社内の誰もやったことがないという難しさもありましたが、先輩から「こういう人に聞いてみたら?」と紹介をしてもらうなど、困った時は周囲の経験や人脈を頼りつつ、チームのメンバーにも協力してもらい進めていきました。
──最も大変だったことについて教えてください。
「ジャニス」公演初日の数週間前に、キャスト・スタッフの中に新型コロナウイルス感染症の陽性者が出た時は「終わった……」と思いました(苦笑)。
ただ、キャストの中には、自宅待機となったことで、台本とじっくり向き合うこともできたとおっしゃる方もいましたし、チームでこの時期をどうプラスに変えるか? という話をすることもできました。
──その若さで、WOWOWにとって初めてのミュージカル制作の現場にチーフプロデューサーとして入ることで、大変な部分もあったかと思います。
演出や音楽のスペシャリストの中で、僕はサラリーマンですから、皆さんが円滑に進められるための場を準備しつつ「どう声をかけたらいいか?」と毎回、言葉を選びながらコミュニケーションを取らせていただきました。
初めてのトライというところで、他の経験豊富なプロダクションであれば起きなかったこともあったと思いますが、皆さん、丁寧に教えてくださりました。
もし僕が50歳のプロデューサーだったら、周りも言いづらかったと思います。でも僕は「なんでも言ってください!」というオーラを出し続けていたので、皆さん「頼むよ、大重さん!」と言いつつ、遠慮なく意見をぶつけてくださいました。ペーペーだからこそできたのかなと思いますし、そんな自分を少しだけ大人にしていただいて、感謝しています。
──事業部の仕事は好きですか?
好きですね。演者の方を含め、ここまで「一緒に作り上げる」というのは、実はうちの会社でも珍しいことなんじゃないかと思います。ディレクターの感覚もありつつ、プロデュースもできるのが楽しいですし、「お金を稼ぐ」というゴールがあるからこそ、赤字か黒字かで結果がハッキリと分かるという部分も面白いです。
「ジャニス」の公演後、会社としても「もっとミュージカルを作っていこう」という流れもあり、出張でアメリカにも行き、そこでまたいろんなタネを見つけました。
延期公演となっていた「ディズニー・ブロードウェイ・ヒッツ feat. アラン・メンケン」も2023年8月に行なわれる予定で、現地でスタジオやメンケンさんの自宅にもお邪魔して打ち合わせをさせていただきました。この年齢で、なかなかできないありがたい経験をさせてもらっていますし、意欲があれば自分で案件を企画し、やらせてもらえる会社だなと改めて感じています。